フードバンクとは直訳すれば「食料銀行」です。食料を預かって、困っている人々に無償で届ける
活動・システム・団体のことをいいます。まだ十分食べられるのに、いろいろな事情で「売り物にな
らない」ために捨てられていた食品や、各家庭で余っている食品、農家などで市場に出せないお米や
野菜などを無償で提供していただいて、それを必要としている人々に無償で届ける活動なのです。
この取り組みは、食品ロスを防ぐという効果もあります。日本では、現在年間約600万トンもの食
品ロスがあると発表されています。なんともったいないことでしょう。食料自給率が40%に届かな
い日本にあって、こうしたロスは極力避けねばなりません。したがって、企業にとっては、廃棄コス
トの削減につながるだけではなく、社会貢献の方法としても位置づけられます。
また、ゴミ減量化の取り組みでもあり、環境保全にも繋がり、多方面への合理性も備えています。
フードロスは、食品メーカーや卸、小売店、飲食店、家庭など、「食べる」ことに関係する様々な場所で発生しています。
食品メーカーや卸、小売店では、いわゆる3分の1ルール(※1)などでメーカーなどに返却される食品や欠品を避けるために保有し期限の切れた在庫などが該当しますが、これらは品質上、まったく問題なく食べられるものです。
※1)小売店などが設定する、加工食品の製造日から賞味期限までの期間を3等分してメーカーからの納品期限や店頭での販売期限を設定する商慣習。
日本では、毎年大量の食品ロスが発生しています。日本人1人あたり、毎日お茶碗一杯分のご飯を捨てていることになります。世界中で飢餓に苦しむ人々に向けた食料支援が、年間320万トンですから、日本の食品ロス(約600万トン)のすごさがわかります。
しかも、日本の食料自給率は、他の先進国に比べてきわめて低く、大半を輸入に頼っているにもか
かわらず、一方で食べられる食料を大量に捨てているのですから、「もったいない」こと、この上なしです。これは、食料のムダ使いであり、家計にとっても企業にとっても経済的な損失となります。同時に、廃棄処分にかかわる環境問題でもあります。
こうしたムダを解消するため、さまざまな取り組みがなされていますが、フードバンクの取り組み
もその有力な役割を担っています。
子どもの貧困問題は、日本でも高い関心を集めています。それは、貧困率16.3%(2012年厚生労働省)という高い数字が発表されたからです。2015年には13.9%と12年ぶりに改善されましたが、それでも日本の子どもの7人に1人が貧困状態にあるというのですから驚きです。もちろん、これは相対的貧困ですから、今日食べるものがないといった絶対的貧困とは違います。しかし、国民の所得でちょうど真ん中にくる所得の半分未満を、厳しい生活であることは確かです。特にひとり親家庭では、改善されてはいるが、依然として子どもの貧困率が50.8%と高くなっています。
国内総生産で言えば、世界第三位の経済大国であるにもかかわらず、OECD(36カ国)の中で24番目にとどまっています。実感として感じられない人も多いでしょうが、これが実態です。
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